2次方程式 \(x^2 = x\) の解は4個?


 合同式は,次のように定義される。
 \(m\) を正の整数とする。
 2つの整数 \(a,\ b\) を \(m\) で割ったときの余りが等しいことを
\(a \equiv b \pmod n \)
で表す。 この式を,\(m\) を法とする合同式といい,\(a\) と \(b\) は \(m\) を法として合同であるという。 \(a\) と \(b\) を \(m\) で割ったときの余りが等しいことを,\(a - b\) が \(m\) で割り切れると言い換えることができる。

 合同式を用いると,2つの正の整数\(a,\ b\) の一の位が等しいことを
\(a \equiv b \pmod {10} \)
と表すことができる。同様に,\(a,\ b\) の一の位と十の位が等しいことを
\(a \equiv b \pmod {100} \)
と表すことができる。
 ある整数が,その整数の平方と一の位が等しくなるのは,一の位が \(0,\ 1,\ 5,\ 6\) である整数で ある。すなわち,合同式 \(x^2 \equiv x \pmod {10}\) の解は,\(x \equiv 0,\ 1,\ 5,\ 6 \pmod {10}\) である。
 次に,ある整数を平方すると,もとの整数と一の位と十の位が等しくなる整数について考えてみよう。 すなわち,合同式 \(x^2 \equiv x \pmod {10^2}\) を解いてみよう。
 この解は,\(x \equiv 0,\ 1,\ 5,\ 6 \pmod {10}\) の中にある(一の位が等しくなければいけない)。  \(x \equiv 00,\ 01 \pmod {10^2}\) が解であることは明らかであるから,\(x \equiv 5,\ 6 \pmod {10}\) について調べてみよう。
 \(x \equiv 10a+5 \pmod {10^2} (0 \leqq a \leqq 9)\) とすると,
\(x^2 \equiv (10a+5)^2 \equiv 100a^2 + 100a + 25 \equiv 25 \pmod {10^2} \)
 ここで,\(x^2 \equiv x \pmod {10^2}\) を満たすのは,\(25 \equiv 10a + 5 \pmod {10^2} \) のときであるから,\(a = 2\) である。すなわち,\(x \equiv 25 \pmod {10^2}\) が解である。
 同様に,\(x \equiv 10b+6 \pmod {10^2} \ (0 \leqq b \leqq 9)\) とすると,
\(x^2 \equiv (10b+6)^2 \equiv 100b^2 + 120b + 36 \equiv 120b + 36 \pmod {10^2} \)
 ここで,\(x^2 \equiv x \pmod {10^2}\) を満たすのは,\(120b + 36 \equiv 10b+6 \pmod {10^2}\) のときで,  \(110b \equiv -30 \pmod {10^2}\) となり, \(11b \equiv -3 \equiv 7 \equiv 77 \pmod {10^2}\) であることと同値である。
 よって,\(b = 7\) である。すなわち,\(x \equiv 76 \pmod {10^2}\) が解である。
 よって,合同式 \(x^2 \equiv x \pmod {10^2}\) の解は,\(x \equiv 00,\ 01,\ 25,\ 76 \pmod {10^2}\) である。
 これを繰り返して,2乗すると百の位まで一致する整数は,下三桁が\(000,\ 001,\ 625,\ 376\) の4通りあり, 千の位まで一致する整数は,下四桁が \(0000,\ 0001,\ 0625,\ 9376\) の 4通りある。
 これをさらに繰り返していくと,
\( \cdots \cdots 0000000000000000 ,   \cdots \cdots 0000000000000001 ,\)
\( \cdots \cdots 6259918212890625 ,   \cdots \cdots 3740081787109376 \)
となる。
 この結果から,
\( (\cdots \cdots 0000000000000000)^2 = \cdots \cdots 0000000000000000 \)

\( (\cdots \cdots 0000000000000001)^2 = \cdots \cdots 0000000000000001 \)

\( (\cdots \cdots 6259918212890625)^2 = \cdots \cdots 6259918212890625 \)

\( (\cdots \cdots 3740081787109376)^2 = \cdots \cdots 3740081787109376 \)

ということになる。すなわち,2次方程式 \(x^2 = x\) の解は,全部で4個あって,
    \( x = \cdots \cdots 0000000000000000,\ \cdots \cdots 0000000000000001, \)
          \( \cdots \cdots 6259918212890625,\ \cdots \cdots 3740081787109376 \)
である。2次方程式の解が4個あるなんて,そんなはずはないのだが ‥‥ ?

【参考】 〔平17 東京大学(前) 理系〕
 \( 3 \ 以上 \ 9999 \) 以下の奇数 \(a\) で,\(a^2 - a\) が \(10000\) で割り切れるものをすべて求めなさい。